土曜日, 5月 27, 2006

 

マイクル・クライトンの描く、中世への時間旅行

タイムライン(上)
タイムライン(下)
 歴史学者と学生が、中世ヨーロッパへ時間旅行して、血なまぐさい世界の中で必死に生き抜いて行くという冒険活劇。マイクル・クライトンらしいというか、タイムトラベルについても、きちんと現在の物理学を踏まえて書かれている。
 疑問点。
 タイムトラベルの理屈については、現在の我々の世界と少しづつ違う多元宇宙(パラレルワールド)が無限に存在し、そのどれかに人と物を送り込むという見解に立っている。一方で、過去を変えられるかというタイムパラドックスの問題については、例えば、「過去に戻って親を殺そうと思っても、過去の世界で親に会えないかも知れないし、武器が壊れるかも知れないし、そもそも殺そうという気持ちになれないかもしれない」というように、何らかの障害が必ず生じるという見解に立っている。
 しかし、タイムパラドックスが起きるのは、同じ時間軸に旅するからであって、パラレルワールドであれば時間軸自体が異なるのだから、タイムパラドックスの問題はそれだけで解決されるはず。なので、作品中の、タイムパラドックスの説明はおかしいと思った。
 それと、これは説明としておかしいというのではないが、「なぜ時間旅行ができるのか」という原理の説明のところでは、「そんな、無責任な・・・」(笑)と思った。
タイムマシンをつくろう!
 時間旅行に関する、現在の物理学者の理論状況がわかりやすく説明されており、「タイムライン」の副読本としても最適。

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