土曜日, 6月 03, 2006
第二次世界大戦考
第2次大戦のことだけを書いているわけではなく、吉田茂や田中角栄といった、戦後政治家のことも鋭く分析しているが、原因を含め、第2次世界大戦について多くの項目を割いている。
私が思うに、第2次世界大戦の原因を一つに絞ることは無理である(軍部に国民がだまされただけという論は、耳には心地よいが、到底、信用できない)。
要約すると、長年続いた官僚組織が肥大化・硬直化・独善化し、政治家が腐敗し、かつ厳しい国際情勢もあって国民に閉塞感が満ち、これを無責任にあおったマスメディアがあり、そのような淀んだ空気と閉塞感を打破するための行動が支持されていった。そして、その延長線上に第2次世界大戦があったということだろうと思う。
本書は、第2次世界大戦の遠因を、5・15事件、2・26事件に見られる「日本の文化大革命」に求めているが、卓見である。なお、さらに言えば、日露戦争後の日比谷公園焼き討ち事件あたりまで遡ることもできるのではなかろうか。
それから、昔から変わらぬ外務省の無責任体制(本書では、情報戦に対する無理解として説明されている)。外務省の不手際によって、宣戦布告が遅れ、日本に「だまし討ち国家」の汚名を着せられてしまったのであるが、これに関連して、本書ではさらに驚くべき事実が語られている。つまり、筆者の取材によれば、戦争か和平かという重大局面において、アメリカの日本大使館において、ほとんどすべてのタイプ作業をしていたのが、現地雇用のアメリカ人だったという。
官僚組織の肥大化と硬直化、腐敗・・・現代にも符合するのが恐ろしい。
ラベル: 日本史




