木曜日, 9月 03, 2009

 

この手があったか!



 この本の解説にもあったが、「この手があったか!」という感じ。
 織田信長が好きで、子どものころからいろいろと読んできたが、安土城の築城を、ここまで丁寧に書いて長編小説にまとめてしまうということに感動した。信長が好きであれば、安土城の存在は、あまりにあたりまえで、築城にこのようなドラマがあったということに思いが至らなかった。

 織田信長が時代を動かしている、まさに、そのときに、安土山で築城を続ける大工たち。もちろん、安土の現場でも、材料の取り寄せでも、いろいろなドラマが展開する。一方、安土山の外では大砲の出現など、技術革新によって戦い方も変わる。動きの激しい外の世界に比べると、安土山では時代が止まっているようにさえ感じられる。そして、外の変化が築城にも影響する。

 最後に、安土城が燃え落ちるとき、ひとつの時代が終焉を迎える。

 敵役の六角承貞が過去の亡霊としての役割を担い、安土城の築城開始が新時代を予感させ、築城中は外の世界の激動を感じさせ、そして、安土城の炎上によって時代の終焉を感じさせる。

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